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Case study

いくつかの事例を取り上げ、アプローチと変化をご紹介します。

今後のセッションの改善につなげていくためにまとめ始めたものでしたが、

一人一人のクライアント様の体験が、どなたかのヒントやお役に立つこともあるのではないかと思い、

ご本人の許可をいただいて掲載しています。

プライバシーに関わる情報や、セッション中の具体的な内容、表現などは省略されておりますが、

無断転載、転用は固くご遠慮ください。

case 04:不妊治療

・ヒプノセラピーでの目的

数年間不妊治療を受けたが成功に至らず、精神的なブロックの可能性もあるとみて妊娠を妨げている思い込みを解除する。

・セッション回数

3 回


・セラピー方法

年齢退行、暗示

不妊治療を始めて数年が経過したDさん。

食事療法など健康への気遣いはもちろん、パートナーさんも治療に対してとても協力的でしたがなかなか妊娠に至りませんでした。

けれども心のどこかで「子供ができない気がしない」という不思議な確信があったそうです。

人工受精のチャンスも限られていますし、費用も大変高額です。

これまで移植に成功しても、着床後不安定で流産してしまいました。

移植最後の機会を前に、ヒプノセラピーで精神的なブロックがあるなら手放し、出来る限りのことはしたいとセッションのご依頼をいただきました。

 

(以前にリーディングも受けていただいており、出生図からは出産、子育ての可能性を感じられたため、精神的アプローチも治療としてお勧めしていました)

 

<葛藤を手がかりにブロックを探す>

 

Dさんは元々とても仕事熱心な方ですが、仕事のクライアントとの関係も然り、

不妊治療においても自分の中で人生のハードルを上げてしまっているという感覚があったそうです。

強い責任感から相手や問題に立ち向かい、物事に対して常に凛生体制をとってしまう、

スムーズに行きそうなことも葛藤を作って難しくしているのではないか。そんな疑問がありました。

でももっとすべてに対して構えず、外からくるものを衝撃と捉えないようになりたい、

ふわっと自然体でいられるようになりたいと願っておられました。

 

また、お母様との関係性については、絆は強く(一人っ子)性格も似ていると分析されておりましたが、同時に強い反発もお持ちでした。

絆が強い母娘関係の特徴として、共依存という問題が潜んでいることが多々ありますが、

Dさんとお母様の関係にもその傾向が見られました。

 

まずは『すべてに対して力んでしまう葛藤』を手がかりに、どんなブロックがあるのかを探るため、

年齢退行療法を行いました。

<1回目年齢退行: 厳しい教育・しつけ>

初めて出会ったインナーチャイルドちゃんは、5歳。

家に入れて欲しいと扉をたたきながら泣いていました。

怒られて物置小屋に閉じ込められているようです。

ちゃんとピアノの練習をしなかった

テレビを見ちゃった

ちゃんとご飯を食べなかった

 

その感情はすでに体験したことはあるか、あるいは初めてかと尋ねたら、

すでに知っている感情だと答えられたので、さらに遡っていきます。

3歳の頃、またお母さんに怒られたシーンでした。

「母はきっと正しい人。

でも必ずしもいつも正しいとは限らない。

理不尽なことがたくさんあるし、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。

なんでそんなに厳しいんだろう。

もっと優しくしてほしい

もっと抱っこしてほしかった。」

 

インナーチャイルドが抱えてきた怒りが出てきたと同時に、

その怒りの奥にある本音は、もっと甘えたかったという思いでした。

子供時代に厳しいしつけやコントロールを体験をすると、

外からの支配と自分の楽しみや欲求との間で葛藤が生まれ、それが心のアーキタイプとなり、

物事に対して葛藤するというパターンを作り上げていきます。

葛藤の状況を意識が作り出すのです。

また、なんとかしなければという感情や力みを持ちやすく「委ねる」ということが難しくなりがちです。

まずはこの葛藤を最初に体験した3歳のインナーちゃんを癒し、

Dさんの中に根付いている葛藤を手放していきます。

そしてこの体験からなにを学んだのか魂の視点から俯瞰していくと、

「過去を手放して、もっとゆったりと自分を受け入れていく生き方」へと

導いていく言葉が出てきました。

ここでの気づきは、今後さらに深い癒しにつながっていく重要な方向性となります。

<2回目の年齢退行: 母との関係の深掘り>

1回目のセッション後、お母様に対する心のスタンスの変化が起こり、自分自身に禁止していたことを、少しずつ工夫しながら欲求を満たす行動ができるようになったそうです。

 

初めて出会ったインナー ちゃんはちょっとよそ行き感があり、自分に気を使っている感じがあったということなので、(初めてだとよくあることです)

2回目ではもう少し本音の深いところにアプローチしていく必要を感じられていました。

 

Dさんから、もっと母親との関係性を深掘りして癒していきたいとの希望がありましたので、2回目の年齢退行では、ご両親の関係や、お母様に対して抱いている複雑な感情を手がかりに、Dさんの中にある緊張や不安の原因を探っていきました。

<母親が抱いていた子供への思いを知る>

子供時代の孤独感、疎外感、そしてお母様の複雑な心情や、子育てに対する責任などを知るうちに、Dさんが抱えている子供を持つことへのブロックとなっている不安が見えてきました。

幼少期の不安感と子育てへの不安がつながっていたのです。


『いい親になれるか自信がない。子供が幸せになってくれるか、幸せにしてあげられるのか。。』

というお母さまが抱えていた不安をDさんは、お母さまの腕に抱かれた生まれたての時にすでに感じ取っており、そのマインドがDさんの潜在意識にも根付いていました。

そしてご自分が子供を持つことに対しても無意識のうちに大きな不安になっていたようです。

その時の自分の心情や状況を再体験することで、お母様が産んでくれたことや育ててくれたことへの感謝を思いだされ、怒りや不安を赦しと感謝に変えていくことができました。

 

潜在意識(魂)は、Dさんがこれから妊娠、出産、子育てを体験していく前に必要な、気づきと癒しのプロセスを与えてくれているようでした。

子供時代から抱えてきた我慢や、お母様との葛藤、共依存など、それらの体験から何を学び、

そして何を手放していくのかを見つけていくプロセスを、Dさんは必要としていたのかもしれません。

 

魂は、すべて答えを知っています。

「望んだことが現実になるから、心の底から叶うと信じればいい。

なんとなく、子供ができないわけがないと感じていた感覚を信じる。直感に従う。」

とおっしゃいました。

 

2回目のセッションでは、さみしさや不安を癒し直感を信じて、自己信頼を深めていく時間となりました。

<3回目:共依存からの解放>

徐々に葛藤や、子育てに対する不安は手放しつつありましたが、ワークが進むことでさらに根深い怒り=被害者意識も見えてきました。

 

一人っ子のDさんは、お母様が抱えていた子育てへの不安や責任の重圧、娘への期待など、あらゆる感情を一人で背負ってきたのです。そしてたくさんの我慢をしてきました。

その重荷を下ろし、母親とご自分の自我を分けて、いよいよお母様との共依存から足を洗う段階です。

 

お母様の心とDさんの心を知覚ポジションチェンジと言うテクニックを使い、催眠状態で本音をぶちまけながら、お母様の感情と自分の感情を再体験し、客観的に俯瞰するというセッションをしていただきました。

なぜヒプノで、過去の他人の心情まで読むことができるのか?と疑問に感じられると思います。

超意識は(時間、空間の概念を持ちません)顕在意識では掴みきれない範囲を超えて、相手の真意や感情を把握しています。催眠状態では、その超意識にアクセスすることができます。

当時は認識することができていなかった他者の心情も、潜在意識の深い記憶の中にはちゃんと残っているのです。

知覚ポジションチェンジの対話では、三次元ではもちろんお二人は本音を伝え合っていないとしても、

超意識の次元では伝え合っています。

面と向かっては照れ臭くて言えないこともこのセッションの中では素直に伝えやすく、言えなかったことを伝えるのは自己肯定にもなります。

 

このセッションの目的は、Dさんの中で

「自分は母親とは違う唯一無二の私という存在である」

ということを自覚し、意図して生きていくためです。

 

これまで母親のために犠牲にしてきたことを終わらせ、背負ってきた重荷を下ろし、そしてこれからは自分が子供を育てていく責任を引き受けるという意思表示。

意識の中の母親に対して真の自立を宣言することが、共依存から抜け出していく一歩となります。

 

共依存は、無自覚にとても多くの母娘が抱えている問題です。

子供が母親との間で抱える自己犠牲や共依存は、母親への深い愛情ゆえです。

ヒプノをしていると毎回、子供はいつでも両親を助けたい、幸せにしてあげたいと心の奥底で願っているということを思い知らされます。

<暗示と結果>

全セッションの最後には、自己信頼や子供を産み育てることへの喜び、楽しみへと繋がる暗示と、

出産や子育てに対する不安を和らげる暗示を繰り返しインストールしていきました。

 

3回のセッション後、最後のチャンスとなる移植がありましたが、

「うまくいくとしか思えない。ちょっと怖いけど大丈夫な気しかしない」

と心強い言葉をおっしゃってくださいました。

 

そして無事、翌年に元気なお子さんを出産されました。

ご報告をいただいた時は、涙が出るほどうれしかったです。

Dさんのこの素晴らしい体験で、「魂が呼び合って出会うプロセスと瞬間」を見せていただいたような気がしています。Dさんは妊娠される前に、手放して浄化していく課題があったのかもしれません。

そしてお子さんの魂は、それを天から見守って導いてくれていたのかなと思います。

良い結果となったのは、決してヒプノの効果だけではありません。

Dさんが日頃から心がけていた食事や生活、そして自分を信じる強さ、そして何よりもタイミング。

あらゆることが相乗効果となり結んだ結果です。

今回は素晴らしい結果となりましたが、魂が望んでいる学びや目的によっては、違う結果が導き出されることもあるでしょう。

それでもヒプノセラピーでは、どんな結果であっても自分に必要な学びと体験、そしてプロセスを自分が選んでいるのだということに気づかせてくれます。

不妊治療で悩まれている方だけでなく、子育てやご両親との関係で悩まれていたらぜひインナーチャイルドセラピーを試していただけたら、今抱えている問題に対する視点が大きく変わること間違いなしです。

 

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