Case study

いくつかの事例を取り上げ、アプローチと変化をご紹介します。

今後のセッションの改善につなげていくためにまとめ始めたものでしたが、

クライアント様の体験が、どなたかのヒントやお役に立つこともあるのではないかと思い、

ご本人の許可をいただいて掲載しています。

プライバシーに関わる情報やセラピー中の詳細は省略しておりますが、

無断転載、転用は固くご遠慮ください。

case 01 : 性同一性障害

 

 

・セラピーの目的

性のアイデンティティの確立

 

・セッション回数

3回(約10ヶ月)

 

・セラピー方法

年齢退行、前世、暗示

 

男性の体を持ちながら心は女性であるBさん。

そもそも「性」というのは男女にはっきり分けられるわけではなく、

グラデーションのように人それぞれ男女の配分やニュアンスの差があるものだと

個人的には考えていますが、

社会的にもまだ性への理解は未成熟な分野だと思います。

 

「自分が女の子なら、もっと好きになってもらえたのではないか」

「男なのにこんなに女の子っぽい自分のこと、好きになってもらえないだろう」

誰かを好きになると、そんな終わりない問答が常に頭の中で繰り返され、

自分を嫌いになってしまう。

 

Bさんは、幼少期~思春期にジェンダーの差別で傷ついた体験から、

男性を好きになる一方で男性への恐怖が根深く、

お付き合いする人に対しても心が開けないことが悩みでした。

 

 

年齢退行:トラウマと向き合う

 

 

 

あるがままの自分との繋がりを取り戻すために、

初回は、年齢退行でインナーチャイルドとの対話を試みました。

 

年齢退行では過去の苦しい体験、感情が再現されることがあり、

感情がリアルに蘇りますが、同時に現在の自分=第3者目線を持ち合わせています。

Bさんは過去の場面や感情をいくつか再体験しながら、

自分自身を否定する言葉、感情があらわになってきました。

 

人から投げかけられた否定的な言葉や行為によって

「こんな自分だから人に傷つけられるんだ」

「だから人に気持ち悪がられて当然だ」

そんな風に自分で自分を否定するようになってしまいます。

無意識に、人が自分を傷つけることを許してしまっているのです。

 

 

心、思考、行動を一致させる

 

初めて出会うインナーチャイルドは、

2~3歳の無垢で男も女もない、ただハッピーで無邪気な子でした。

そんな過去の自分と向き合った時に、

「早く準備しないと傷ついちゃう、教えてあげなきゃ」

そんな思いにかられながら、

逆に現在の自分自身の弱さを感じられていました。

 

小さなBちゃんは大人のBさんに

笑顔が嘘っぽい、私がしたいことを否定する人だと

厳しく指摘していました。

はっきりと自分の好きなことをわかっているし完全に肯定している。

男も女もない、ありのままで完全なのです。

 

この二人の間に不信感があり大きな溝があるということは、

Bさんの心、思考、行動に矛盾があるということです。

 

インナーチャイルドの声を聞き=本音

大人の自分がその声を実践すること=行動が

心、思考、行動を一致させる第一歩になり、

自己肯定を取り戻すことにつながります。

 

 

アイデンティティを確立する

 

 

その後時間を経て、Bさんの理想的なセルフイメージがクリアになってきました。

体を変えることや女装することが自分にとって最善の解決方法ではなく、

男性の体と女性の心、この二つを持った自分を100%受け入れ、

その上で、男性性と女性性を統合した自分だけの美しさを表現することが

一番ニュートラルで自然なあり方ではないかと思うに至りました。

 

そのため、男性の体を持つ自分を受け入れるようになるため、

前世療法を行いました。

 

 

前世療法:男性性の恐怖の起源

 

まず潜在意識は「自由を奪われた少年」を見せてくれました。

武器を持った男性に閉じ込められ襲われる恐怖に怯えている。

他の人たちもみんな殺されてしまった。

窓の外から見張られ、逃げることも諦めている。

 

そのあと、戦争で愛する人を失ったけれどもその人を静かに思う女性の人生と、

子供に囲まれ愛する旦那さんがいて幸せに暮らす女性の人生が現れました。

 

この3つの体験からBさんは、

「今このわたし(男性の体で女性の心)しか、乗り越えられないことがある」

とおっしゃいました。

 

Bさんの男性への恐怖は、

死、不平等さ、孤独、寒さ、飢え、あらゆるものを包括していたのです。

心を殺さないと自分を保てず、恐怖に怯え続けていた心を見つけ出して労わることで、

恐怖を癒すことができます。

 

女性として幸せだった記憶と女性的な心を持って生まれることで

魂のきずを癒し、男性性と女性性を統合し唯一無二となる。

それがBさんの魂が望む性のあり方でした。

 

 

暗示療法:プログラムの強化

 

 

前世療法の時に、ネガティブなプログラムを理想的なプログラムに

書き換えるための暗示を入れましたが、その後さらに強化しました。

 

これは現実生活で、過去の不安を思い出させるような出来事に直面したとき、

過去のパターンに戻らないために有効です。

繰り返し暗示で、焦りや不安を和らげ、安心と自信をインストールすることで

自然に行動に変化が表れるようになります。

 

暗示療法の直後、Bさんは今まで怖くて抵抗があったことに、

勇気を出して一歩を踏み出すことができました。

そのような行動が自己肯定と次の勇気にもつながります。

些細なことのようでも、小さな一つ一つの行動の変化が、

徐々にポジティブなパターンと理想的なセルフイメージを作り上げていくことにつながります。