Case study

いくつかの事例を取り上げ、アプローチと変化をご紹介します。

今後のセッションの改善につなげていくためにまとめ始めたものでしたが、

一人一人のクライアント様の体験が、どなたかのヒントやお役に立つこともあるのではないかと思い、

ご本人の許可をいただいて掲載しています。

プライバシーに関わる情報や、セッション中の具体的な内容、表現などは省略されておりますが、

無断転載、転用は固くご遠慮ください。

case 03:子育ての悩み

・ヒプノセラピーでの目的

息子さんの心の状態を知り、どうしてあげるのがベストなのかを探る

・セッション回数

1回


・セラピー方法

グリーフケアセラピー(知覚ポジションチェンジによる息子さんとの対話)

当時6歳の息子さんが、環境の変化から不安や緊張のため表情が硬くなり、

学校もあまり楽しく過ごせていない様子で、

初めは息子さんをセラピーにとお考えになりお問い合わせいただきました。

お話を伺う中で、息子さんがまだ6歳ということもあり、

まずはお母様がヒプノを受け、グリーフケアセラピーという対人関係でのすれ違いや感情を癒したり、

本音を伝え合うために利用する方法を提案しました。

お母様のCさんは、子育てに真摯に向き合う一生懸命な方です。

息子さんの様子を説明されている時も、

ある時ご自身が疲れていらしたときに、息子さんをきつく叱ってしまったことを悔やんでいらしたり、

ご家族のことを何よりも一番に考えていらっしゃるのがひしひしと伝わりました。

 

しかしながら、息子さんの口数や表情が乏しくなり、

学校で何かあったのか、どんな思いでいるのか、

親といっても子供は全てを話してくれるわけではありませんし、

心配し続けていても問題は解決しません。

 

まず息子さんの言葉にならない感情や、

お母さんに対してどうして欲しいのかなどを探っていくことになりました。

 

知覚ポジションチェンジ:相手の無意識の願望を知る

 

 

催眠に誘導し、目の前に息子さんが座っている状態をイメージしていただきます。

そのとき必ず、「目が覚めたらここでの会話は全て忘れます」という暗示を入れます。

現存する人物と催眠で対話をする際、この暗示を入れなければ『実際に会話した』と

勘違いを起こしかねないからです。

 

まず相手の気持ちを聞く前に、Cさんご自身の思いを息子さんに伝えます。

どんな相手だとしても、まずは自分の思いを伝える(自分のニーズを満たす)ということが重要です。

 

Cさんから息子さんに謝りたかったこと、

息子さんが頑張ってることはちゃんとわかってるということ、

どんな思いでいるのか、また笑って楽しく過ごせるようになることを望んでいることなどを

伝えられていました。

 

そして息子さんにどう思っているのか尋ねます。

Cさんが思いもよらなかった彼の本音が出てきました。

本音が聞けるだけでなく、息子さんの感情や体感がはっきりと伝わってきたそうです。

息子さんの素直な思いや、学校での様子などが伝わってきて、

また、なかなか考えていることや感情を言葉にできないもどかしさも感じられたようです。

 

彼が抱えていることに対してアドバイスは求めていないのだということ、

息子さんはただ見守ってもらいたいという思いでいたことを

Cさんはただただ受け止めていらっしゃいました。

「大丈夫だよ、無理しなくていいよ、そのまま過ごしていればきっと大丈夫だよ」と

息子さんはありのままの自分を受け入れてほしいのですね。

どんなお子さんも本音はそうなのかもしれません。

 

相手の思い、要求を知ることで物事の視点が変わる

 

このように自分の立場の視点から、相手の立場の視点に移動することによって、

問題の見え方が変わります。

息子さんは、お母さんが心配していると余計に不安になっていたそうなので、

Cさんが「もう大丈夫だよ、見守ってるよ」と理解を示したことで、

自分のペースで過ごせばいいのだと思うと元気が出たと息子さんはおっしゃいました。

 

『説明ができない感覚をこじ開けようとすると、息子は辛くなるということがよくわかった。

これからはゆったり見守り、落ち着いて、夫の仕事、娘の進学、息子の成長を、

少し距離を置いて見守っていく。

仕事も、もう少しゆったりできるようになれそう。

少し家族のことを心配しすぎていたように思うので、

これから日本に帰国するまでの間、自分の活動を悔いのないようにやっておきたい』

とCさんはおっしゃいました。

息子さんとの会話は、すべてCさんの潜在意識下での会話ですが、

Cさんの頭の中で終始完結するだけではありません。

Cさんの意識と態度が変わることで、息子さんにも変化が現れます。

顕在意識では認識していないことも無意識では感知しているからこそ、

催眠状態でのこのような対話が、息子さんの無意識にも影響を与えるのではないでしょうか。


そして何よりも素晴らしいのは、息子さんの自立を尊重することが、

Cさんご自身がゆとりを持って時間を有効に使い、ご自身の自立にもつながっているということです。

その後Cさんご家族は帰国され、息子さんも新しい日本での環境にも馴染んで

お元気で過ごされているようです。